別府温泉から大分空港のある国東半島側にちょっと戻って、
大分県杵築市にある杵築城(きつきじょう)に行ってきました。
杵築城は全国城郭管理者協議会に参加していないらしく「城のしおり」でも紹介されておらず、
九州の人でも「そんな場所に城があったの?」と思うほどマイナーだったりもします。
私も地元九州にいながら大学時代に初めて知って行った城です。
個人的に、杵築城の天守閣の姿が最も美しいと思うのは、
八坂川に架かる国道213号線の杵築大橋から見る角度。
杵築大橋の対岸側に展望公園があって、そこの駐車場に停めて歩いて橋を渡れます。
杵築城のある台山はかつては八坂川の河口に突き出て、三方を水に囲まれた天然の要塞でした。
大友氏と島津氏の激戦の舞台となりましたが、強豪島津氏の猛攻に耐え抜いた名城でもあります。
杵築城天守閣入口。
石碑には「木付城跡」と書かれていますが、杵築はかつては「木付」と書かれていたのです。
ちなみに学生時代に初めて行った時、その山の地形と天守閣の形から、
「佐賀県の唐津城に似ていますね」と城内の職員の方にさりげなく言ったところ、
1970年に天守を再建する際に、元々の天守の形の資料がなかったため、
地形がよく似た唐津城の天守閣を参考に建てたんだそうです。
杵築城天守閣からの眺めは絶景。
ここから陸続きになっている八坂川の右岸に、崖のようなものが見えていますが、
その崖の上に広がるのが武家屋敷群。
杵築の城下町は、高台にあったのです。
杵築城下の名店「うれしの」で、鯛茶漬けを食べました。
胡麻だれ風味ですごく美味しい!
この鯛茶漬けを杵築藩主が食べて「嬉しいのう」と言ったことからついた店名で、
江戸時代から続いている老舗。最近では東京などにも商品が進出してきています。
そう言えば、『美味しんぼ』の大分編にもこの鯛茶漬けが登場し、
海原雄山が「嬉しいのう」のエピソードも紹介しています。
先ほど天守閣から見えた武家屋敷群のある崖から、逆に天守閣方面を望んでみる。
杵築城と杵築大橋が一緒に見えて、いい眺め。
ちなみにここには杵築城下町資料館、一松邸などの施設があって広めの駐車場もあり、
杵築市役所付近から車で上がることができます。
杵築城下は、南北の高台に挟まれた谷になっていて、
南北の高台の上はそれぞれ武家たちが屋敷を構え、中央の谷の下には商人街がありました。
このようなサンドイッチ状の形になっている城下町は、恐らく日本でも唯一です。
ここは、北側の高台である北台の武家屋敷群。
先ほどの杵築城下町資料館のあるほうが南台になります。
商人の街であった中央の谷間には、現在でも様々なお店が並び、市役所もあります。
そして北台、南台に上がるための階段や坂がいくつもあり、
これらの坂をひとつひとつ見ていくだけでも、とっても雰囲気があって楽しいです。
それぞれ「酢屋の坂」「勘定場の坂」「志保屋の坂」など名前がついています。
この階段は、くの字に曲がるのが特徴的な「飴屋の坂」。
それにしても、杵築の城下町はとても保存状態がよくて全体的に雰囲気がいいです。
今回は時間がなくてサラリと歩くだけでしたが、けっこうゆるりと楽しめると思います。
大分空港から近い場所なので、大分観光の足掛かりに良い場所かもしれませんね。
コメント