久々に予想を完全に裏切られたという映画を観てしまいました。
2010年に公開された『板尾創路の脱獄王』です。
お笑い芸人・板尾創路の初監督作品である今作は、
松本人志監督の『大日本人』や『しんぼる』などと一緒に並んで紹介されることが多いですが、
いやはや、想像以上の完成度の映画でビックリしました。
無銭飲食の軽犯罪で捕まりながら、どんな鉄壁の監獄でも脱獄してしまう鈴木雅之（＝板尾創路）だが、
決まって線路上を走って逃げようとするため、簡単に捕えられてしまう。
最終的には、脱出不可能と言われる絶壁の孤島・監獄島へ移送されてしまうが、
その謎を追っていた看守長の金村（＝國村準）は、やがてその真相を知り……
というストーリーですが、てっきりコントっぽいものかと思いきや、
鈴木がどのような方法で脱獄を測るかというトリックも一つ一つきちんと考えられていて、
また昭和初期当時の監獄内部の過酷さや不浄さもしっかり再現されており、
一時期海外映画で全盛だった「脱獄モノ」ジャンルを見事に作り上げています。
というか、拷問シーンなどが残酷すぎて、あまり女性などにはお勧めできないです…。
そして賛否両論を巻き起こしたラストシーンがこの映画の全てだったりしますが、
あまりにシリアスすぎる内容の中に、芸人・板尾創路ならではの面白さも多々あって、
『ごっつええ感じ』の「おまえが唄うんかい」や『笑ってはいけない』の「板尾創路のブラック・ジャック」
などのＴＶコントを髣髴させるような演出が見られて、つい笑ってしまいました。
予告篇に出てくる人物が、実は本編に出てきてなかったりもしてますよね…。
いやあ、予想外の完成度に爽快です。
ぶっちゃけ、『しんぼる』より10倍以上面白かったです。
それにしても、『古畑任三郎』や『牙狼』、『おひさま』などでも感じましたが、
板尾創路の演技力ってすごいんだなあ…。
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