「厳島の戦い」の最終激戦地・駒ヶ林を攻略せよ。


「厳島の戦い」を描いた実験的連載『厳島戦記』が完結しました。最後、弘中隆包が毛利軍に「龍ヶ馬場」という岩場に追い詰められ奮戦しますが、この場所ももちろん実在します。近年では一般的に「駒ヶ林」と呼ばれています。私も宮島に行く時にはよく登るのですが、以前に登った時に撮った写真を元に、駒ヶ林の様子をご紹介します。


安芸の宮島で最も標高の高い山が弥山(みせん)で、弥山の山頂まではロープウェーで簡単に行くことができます。駒ヶ林はそこから徒歩10分ほどで行ける距離にあります。弥山山頂から少し峰伝いに降りると、大聖院の方向に降りる下山ルートと、駒ヶ林に登るルートの分岐点があります。そこから淡々と山道を登っていきますよ。


毎年の台風で木が倒れたりしていて、弥山に比べて人の行き来が少ないため放置されていますが、頑張って登っていきましょう。弘中隆包を取り囲んだ吉川元春の軍勢は一度に攻め込めず難儀したと言いますが、確かにこの道では一度に攻め上がるのは不可能ですよね。


駒ヶ林に到着!このように、ほとんど何もない岩場です。観光客だらけの弥山と違い、人はほとんどおらず、いても登山家ぐらいなので、とても落ち着いた静かな場所です。厳島合戦の当時は、この駒ヶ林は「龍ヶ馬場」「絵馬ヶ岳」などと呼ばれていたようです。


そして、駒ヶ林からの景色はなんとも絶景です。「日本三景」とは弥山の山頂からの景色だと言われていますが、個人的には一方向しか見えない弥山山頂より、様々な方向が望めるこの駒ヶ林のほうが圧倒的に景色がいいと思っています。ただ、急峻な岩場ですので、崖を落ちないように足元には十分に注意しましょう。

ちなみに私は、弥山山頂へのロープウェーは片道分を買っておいて、駒ヶ林から直接下山ルートを使って山を下りていくことが多いです。長らく大聖院ルートは台風の影響で封鎖され、別の登山道を使っていましたが、最近はこの大聖院ルートが再開したらしく、下山もラクになりました。


さて、『厳島戦記』の中で、弘中隆包が龍ヶ馬場へ吉川元春たちに追い詰められたことも、総大将の陶晴賢の死後も生き残っていたことも、井上源右衛門という人物に討ち取られたことも、フィクションだと思っている方も多いと思いますが、駒ヶ林に立つ説明板にもこのとおり、きちんと書かれています。弘中隆包は実在の武将であり、本当に龍ヶ馬場に散っていったのです。

「日本三景」の安芸の宮島に行かれた際には、ぜひ駒ヶ林にも足を伸ばしてみて下さい。岩場なので歩きやすい靴で行かれることをお勧めします。きっと、気持ちの良い風があなたを迎えることでしょう。

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